近頃中国では、“KOL”を利用したマーケティングが通用しなくなってきているという。
そして、「“KOL”に代わって“KOC”が次のマーケティングポイントになる」というweiboの投稿が急上昇に上がり、業界を賑わせ話題となった。

KOLは専門家、KOCは友達

業界を賑わせた投稿をしたのは「京東商城」の元PR担当者・闫跃龙である。

KOCの方が消費者との距離が近いため、シェアした商品体験の信憑性がより高まり、消費者の購買意欲を引き出しやすい、と彼は語った。

その投稿の後、WeChatの個人の公式アカウント「姜茶茶」はこの意見を否定する投稿をWeChatで出した。「KOCは予算の少ない企業の嘘に過ぎない」と反発したのだ。この投稿は10万もの閲覧数を獲得し、2人の論争によりKOCは一夜にしてホットワードとなった。

 

KOCとは? KOLとの関係は?

  • KOL:Key Opinion Leader
  • KOC:Key opinion Consumer

KOLとは、特定の分野やトピックに対し豊富な知識と理解を持っている専門家のような人を指す。信頼性かつ影響力、知名度を持ち、フォロワー数も膨大である。そのためKOLを利用することにより、多くの潜在顧客にリーチをかけることができる。そのためKOLはマーケティングのツールとして大いに活用されている。

ではまだ馴染みの浅い“KOC”とは何なのか。KOCとは一般人であり、比較的フォロワーがいる人である。専門性やKOLほどのフォロワーは持っていないが、一般消費者という身近さと親近感は他の消費者の購買意欲を引き立たせることができる

KOLは芸能人に近く、KOCは一般人に近い人と考えたらわかりやすいと思う。

両者の広告効果:

  • KOL:数多くのフォロワーを持ち広告効果が高い、コスト高め
  • KOC:狭い範囲の一定層に影響力がある、コスト低め

 

KOCが話題になった背景

KOCが話題になった背景を説明する前に、先に「私域流量」について説明しておきたい。

2019年に入り、「私域流量」というマーケティングコンセプトが急上昇ワードとして挙がった。

weiboやTikTokなどのプラットフォームにおいて、広告費を出せば獲得できるユーザー「公域流量」と比べ、「私域流量」とはWeChatアカウントやセルフメディアなど無料でユーザーにリーチできるルートにおいて、個人や企業自身が有するユーザーを指す。例えばあるブランドの公式WeChatアカウントのフォロワーが1万人だった場合、その1万人がそのブランドの「私域流量」となる。

KOCは「私域流量」と同じく、低い予算で広告効果を目指すことができる。「私域流量」や「KOC」などが話題になったのは中国経済の減速が原因だと指摘されている。

▲2016年〜2019年の上半期中国広告市場支出規模(出典:CTR媒介智讯)

関係データによると中国経済減速の影響を受け、2019年上半期広告主が中国広告市場を懸念し、広告支出規模は前年比8.8%減となった。広告予算が縮小した事により、「公域流量」より「私域流量」に注力する企業が増えた。したがってKOCが選択肢の1つとして注目され始めたのだ。

 

KOCは一般化するのか

注目を浴びるKOCだが、すでに「微商」(WeChat内でユーザー同士が商品やサービスを販売するビジネス)時代に存在した手法である。
そのため、「微商と共にもうすでに衰退したマーケティング手法だ」という指摘も挙がっている。
KOCの主な手法はWeChatのモーメンツを利用して広告を打ち、知り合いに商品を推薦する。
微商時代は推薦商品の品質問題などが続出したため信頼を失い、知り合いとの関係性悪化、ブロックされるなどのケースを招きこの手法は減衰した。

中国にてホットワードとなっている「私域流量」と「KOC」。
減速中である中国経済での企業の伸び悩みが反映していることが見て取れるだろう。そんな中国ですでに撤退を余儀なくされた海外の大手企業がいくつも存在する中、今もなお海外企業の中国進出は行われている。

広告コストを下げられるなどのメリットが挙げられるKOCは現在の経済情勢により活用される機会が増えたかもしれないが、KOCが完全にKOLに取って代わるのは難しいだろう。