瞬く間に売上拡大をもたらすライブ配信

中国ECに携わるビジネスマンの間でライブコマースという言葉をよく耳にする。
近年、ネット上で一定層の支持を持つKOLらが動画配信を行なって商品を紹介し、販売するのが人気なマーケティング手法の1つとなっている。動画の閲覧者は好きな商品をそのまま購入することができる。
短時間で高額売り上げ、ブランドに対し目に見えるマーケティング効果をもたらすため、ライブ配信を利用したマーケティングを展開するブランドが次々と増えてきた。
去年のダブル11(独身の日)では、KOLの薇娅(viya)がライブ配信で3.3億元(日本円で約50億円)の売り上げた記録は記憶に新しい。また、コスメ分野で有名なKOL李佳琦(Austin)は5分間で1万5千本もの口紅を売り、ライブコマースの驚異的な力を示した。

関連記事はこちら:
”年収大女優超え”、中国インフルエンサー・「網紅(ワンホン)」の現状
【最新データ】から見る2019年中国EC市場の発展

▲薇娅(左)と李佳琦(右)のライブ配信画面

今年も10月21日から、アリババはダブル11の予約販売を開始した。タオバオのライブ配信者らは売上競争に勤しんでいる。初日に1.7万件ものブランドがライブ配信を行った。ライブ配信による取引額は前年度の15倍にもなっている。
スマホメーカーのxiaomiは10月21日から連続で22日間、長期ライブ配信を行うことを発表した。ダブル11のイベント開始前から、ライブ配信によりEC業界最大規模のイベントが盛り上がりを見せていた。

 

ライブコマースが人気マーケティング手法になった理由

  • KOLに対する信頼が商品への信頼に直結する
  • 欲しい商品の詳細情報を見て、そのまま購入できる手軽さ

商品のライブ配信は誰が行なっても成功するわけではない。配信者の信頼度がライブコマースが成り立っている1番の要因である。前述の薇娅や李佳琦は900万人以上のフォロワーを持つ大物KOLだ。多くのフォロワーに支持され影響力を持っているKOLに対する信頼度が紹介する商品への信頼に直結して、売上に貢献していく。
また消費者にとってライブ配信を見ながら、欲しい商品の情報を知り、そのまま買える手軽さがライブコマースの1番の魅力なのだ。

KOL以外にも近年、芸能界から続々と有名人がライブ配信に参入し、商品を販売する現象も増えている。テレビで見ていたタレントが身近な存在になり、消費者の購買意欲を刺激した。
KOLやタレントが消費者の好みを掴み売上を向上させるためには、消費者のコメントを細かく分析するなど地道な努力も必要である。平日・休日に関わらず、年に389回ものライブ配信を展開するKOLも存在する。

 

ライブ配信プラットフォームまとめ

2016年、アリババのタオバオが先頭を切ってライブ配信チャンネルをリリースし、ライブ配信によるEC事業のサポートを開始した。タオバオの発表によると、2018年の1年間の取引額は1000億元(約1兆5400億円)を越え、81名の配信者の年収は1億元(約15億円)を越えた。

タオバオだけではなく、人気のショート動画アプリ・Tik Tokも2018年にライブ配信による商品販売を始めた。EC事業を展開していない運営会社・バイトダンスはTik Tokをタオバオと連結させ、Tik Tok上のリンクをクリックするとタオバオの店舗へ飛ぶようにした。現在ライブ配信は1つのツールとしてさらに多くの企業に利用されている。

▲ライブコマースを展開するプラットフォーム(チャイトピ!作成)

 

政府は管理を強化、ライブコマースの課題

高いマーケティング効果を狙って、自社商品のPRをKOLらに依頼する企業も増えた。しかし、ライブコマースはまだまだ課題が多いのが現状である。

  • 商品のプロではないKOL
    KOLの推奨により購入した商品が偽物だったり、実物との差が大きいなどの問題も度々起きており、KOLの商品理解・管理は不十分である。紹介した全ての商品の質を完全に管理することはKOL1人では容易なことではない。
    前述の有名なKOL李佳琦でもノンスティック加工のフライパンを紹介した時、同フライパンに入れた卵がこびりつくという「放送事故」が起きている。
  • 政府は管理を強化
    今年10月、中国市場監督管理局はKOLによる商品販売への調査を強化すると発表した。偽物販売や、過度な宣伝行為などに対する厳格な処罰を与える方針である。

中国政府が新しい業界に対して、最初は様子を見つつ、のちに業界の規範を形成していくにあたって管理を強化することは良くある。ライブコマースが政府部門の管理強化により、さらに合法かつ健全な方向へ向かっていく予想されている。これからは優良なKOLのライブ配信のみ生き延びることができるだろう。