中国の若者に大流行中のショートムービーアプリのTik Tok(中国語名は抖音:Douyin)に、アリババが出資を計画していると中国メディアが報じた。Tik Tokは中国国内で月間3億人以上のアクティブユーザーを抱えるまでに急成長している。

■猛威を振るうTik Tokに危機感を感じるテンセント

今年に入り、アリババのライバルであるテンセントは、自社のチャットサービスWeChatで、Tik Tokのリンクシェアを遮断するなど、Tik Tokへの対抗措置を取っていた。
テンセントがTik Tokに対してこのような措置をとった一説として、Tik Tokの親会社の「今日頭条」が一因にあると言われいる。今日頭条は、日本で例えるならスマートニュースやグノシーに似たニュースアプリを開発している企業で、老若男女問わず幅広くユーザーを抱えている。
ソーシャルの分野で勢力を高めているので、テンセントがライバル視していると報じられた。一見、両者の戦うフィールドが違うと思われるが、WeChatでTik Tokのリンクがシェアされることにより、競合にユーザーが流れてしまうことを懸念してリンクシェアを遮断したという話がある。また、Tik Tokでは青少年に悪影響を与えるような動画配信が多く見受けられていたので、そうした問題への対策としてでもあるだろう。

■Tik Tokとは?

TikTokは2016年にリリースされたショートムービーアプリだ。
ノリのいい音楽に合わせてユーザーが口パクでダンスしたり、旅先やペットの動画にエフェクトをかけて編集したり、世界中のユーザーに自分の「日常」をショートムービーで共有することができる。リリースから瞬く間に若者の間で「おもしろい!」と人気に火が着き、2017年8月までのアプリ内の再生回数は10億回を超えている。

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Tik Tokが公開した最新データでは、中国国内のDAUは1.5億人を突破。
月間アクティブユーザー数(MAU)は中国国内で3億人、全世界で5億人を超えている。

2016年にリリースされてから2年も経たないうちにここまで急成長したTik Tokは、多くの投資家に注目された。主な配信内容も初期の頃はダンスがメインだったが、それからグルメ、旅行、政治などと幅が広がっている。主なユーザーはリリース初期は18〜24歳が多かったが、ダンス以外の自由な内容を配信して良い風潮ができてからは24〜30歳が主なユーザーとなった。瞬く間に人気に火が着いたTik Tokはすぐさま海外進出に目を向け、既に日本、タイ、ベトナム、インドネシアへ進出して海外バーションを打ち出している。日本でも小学生〜大学生の間に大流行しており、Tik Toker(ティックトッカー)と呼ばれるタレントを目指す者も多い。

■Tik Tokとテンセントの争い履歴

Tik Tok親会社の今日頭条は、テンセントのソーシャルメディア領域における有力な競争ライバルとなった。
驚異的な成長スピードを恐れ、テンセントはTik Tokの発展を阻止していると指摘されている。
実際に、今年の3月から2社は戦闘モードに突入している。(下図参照)

なぜテンセントがここまでTik Tokを敵対視しているかというと、実はテンセントは2013年に「微視」というショートムービーアプリをリリースしたことがあるのだ。しかし、微視は2017年に閉鎖された(業績不良が原因と噂されている)。
2018年4月にTik Tokに対抗するためか、テンセントは新バーションの微視をリリースし、微視の復活を宣言した。テンセントは微視をTik Tokの対抗馬として復活させたため、自社サービスから徹底的に排除したいのだろう。両社の闘争は益々激しくなっていくことが予想される。

Tik Tok(左)と微视(右)のデザイン

■アリババはTik Tokを支持か

両社が紛争をしている中、なんとテンセントのライバルであるアリババがTik Tokに出資するいう話が報道される。
アリババはかつて、ソーシャルメディア分野への進出を試みたが、テンセントに敗北している。
Tik Tokに出資するということは、アリババの弱点であるソーシャルメディア分野の成長にプラスになるだろうということが報じられた。アリババとTik Tokの両社の協業はすでにスタートされ、2018年3月からTik Tok内での配信内容にアリババ系ネット通販サイトへのリンクが出現。そのリンクから直接淘宝(タオバオ)のページへ飛ぶことができる。

現在の中国IT業界はアリババとテンセント2強社の局面になってる。
アリババはEC領域を強みとし、テンセントはSNSやゲーム領域で強みを持っている。互いにより広い分野のユーザー獲得を網羅するために、2社は互いの得意領域に進出を試みている。テンセントはアリババとEC分野で対抗するために京東(ジンドン)に出資し、アリババもSNSやメディア分野でテンセントに対抗するため、新浪微博(Weibo:中国版ツイッター)に出資し、第2位の株主となった。インターネット会社の競争の背後には、いつもこの2社の姿が存在している。Tik Tokは最終的にアリババ陣営になる可能性も十分に考えられる。
ソーシャルサービスの分野でアリババがTik Tokへ出資する話が本当であれば、中国ショートムービー領域においてもアリババとテンセントの2強社戦になる可能性が高い。