毎年恒例となった杭州で開催されるアリババのカンファレンス「雲栖大会(ユンチーダーフイ)」は、今年で記念すべき10周年を迎えました。
2016年、ジャック・マーは同大会で「ニューリテール」のコンセプトを発表し、メディアから大きな注目を集め、2017年も同大会でアリババは技術研究開発部門「達摩院」(Damoアカデミー)の設立を発表し、今年も大会中にアリババ最新技術の展示と共に重大な発表があるのではないかと注目されました。
今回、チャイトピ!編集部は現場に取材へ行って参りましたので、会場で目についた最新テクノロジーをご紹介いたします。

■ジャック・マーは「新製造」(ニューマニュファクチュア)を強調

イベントの初日、アリババ会長のジャック・マーが登壇し、2016年の新小売(ニューリテール)に次いで今後の新しい製造業について語りました。

ジャック・マーは、今の技術変革の背景下では伝統的なメーカー企業の経営は今後苦境に追い込まれるため、企業は「新製造(ニューマニュファクチュア)」のチャンスを掴なければならないことを提唱しました。
新製造は製造業とサービス業の融合だと言い、今後生き残れるメーカー企業は、インターネットやIoT、クラウドやビッグデータをうまく活用した企業のみだと熱い持論を展開しました。

また、アリババCTOの張建鋒はチップの研究開発子会社「平頭哥」の成立を発表しました。
米中貿易摩擦の影響を受けて、これまで米国の技術輸入に依存していた中国は、国産のチップ開発に力入れるため、アリババは来年に自社開発のAIチップを公開する計画を発表しました。アリババは今年4月に中国のチップ開発会社「中天微」を買収し、チップ開発領域へ進出しています。

■無人コンビニの「天猫未来店」を公開

アリババは2017年「淘咖啡」という無人コンビニを公開しています。
今回の雲栖大会ではバージョンアップした無人コンビニ「天猫未来店」が公開されたました。これは一年後に商用に導入する予定です。

   ▲「天猫未来店」の体験を待つ人々 (撮影:チャイトピ!)

80平米の店内は約20人を収容でき、入店には淘宝(タオバオ)あるいはアリペイのアカウントの登録が必要。パスワードなしの決済サービスを開通後にQRコードで入店することができます。

▲QRコードによる入店(撮影:チャイトピ!)

▲店は約80平米(撮影:チャイトピ!)

天猫は最新技術を採用して実店舗の経営効率を高めました。
追跡技術で来客の店内での行動を捉え、来客は欲しい商品を持って店を出るだけで決済を済ませることができます。
セルフレジもなく、オート決済できる技術は、上海にある無人コンビニ「簡24」でも採用されています。簡24の取材では、商品を本来の棚から別の棚に置いたら、システムは消費者が先ほど手に取った購入したと認識し、間違えて決済されるなどの問題が発生したので改善点はまだまだあるようです。
「天猫未来店」の従業員に技術面の課題を確認したところ、簡24と同様に技術面はまだ完備されてないそうです。何か不具合が発しした場合は現場にいる買い物指導の従業員が対応することになっています。

▲T-guideというショッピング案内装置(撮影:チャイトピ!)

また、この「天猫未来店」では「T-guide」というショッピング案内装置が設置されています。
装置のディスプレイに近づくと、消費者の身分を認証して、その人に合った関係商品を勧めてくれます。例えば、ガイドにポテトチップスを勧められた時、それを買うとしたらガイドが店内床に設置されている灯の帯がポテトチップスの置いてある棚までの路線を示してくれます。
従業員によると、今後T-guideに検索機能を追加する予定で、それができれば来客は買いたい商品をガイドで検索すれば商品のある場所をすぐに見つけることが出るので、店内で迷って時間を無駄に浪費することはなくなります。

■盒馬はAIを活用したレジReXPOSを公開

アリババ傘下のO2Oスーパー盒馬(ファーマー)(盒馬鮮生(ファーマーシェんション)から盒馬に改名)は、アリババニューリテールの代表格として今回も雲栖大会で登場。現場ではAIを活用したレジReXPOSが公開されていました。商品のバーコードをReXPOSが読み取り、来客はは決済QRコードあるいは顔認証で決済することができます。4つの商品の決済時間は平均約24秒。顔認証による決済の正確率は99.99%だそうです。しかし記者が実際に顔認証決済を試したみたところ、反応は思ったよりも遅かったため、やはり従業員の説明はいくらか盛られているのでしょう。

▲盒馬の展示ブース。イメージキャラクターのカバがこんにちはしています。(撮影:チャイトピ!)

▲店内で設置したスマートレジReXPOS(撮影:チャイトピ!)

盒馬CTOの王曦若は、スマートレジはアリババがニューリテール分野の経験をオープンにした最初の一歩にすぎないと語っています。
アリババは将来、さらに多くのハードウェアやソフトウェアなどのニューリテール産品を公開する計画があります。

ニューリテールはこの2年間で中国小売ビジネスのコアキーワードととなりました。オンラインとオフラインの融合は業界のトレンドとなり、アリババはニューリテールのインフラの開発に力を入れているので今後の発展に期待できますね。

■コーラを届けてくれるサービスロボット

AI(人工知能)はここ数年で世界中で大ブームとなり、アメリカと中国のIT企業は技術開発、AIを活用した製品の開発に注力して、様々な新技術の成果を見せてくれました。アリババは雲栖大会で2つのサービスロボット「天猫精霊太空蛋」と「天猫精霊太空梭」を公開しました。このロボットたちはアリババのスマートスピーカー「天猫精霊」からの指令を受けて、病院やホテルなどのシーンでサービスを提供することができます。

天猫精霊太空蛋(左)と天猫精霊太空梭(右)(撮影:チャイトピ!)

例えば、お客はホテルの部屋に設置している天猫精霊に音声指令を出せば、ロボットは指示された飲料水やクリーニング済みの服を部屋まで届けてくれます。会場では、飲食店での使用例を見せてくれました。
まずは机の上に置かれた天猫精霊に声をかけて、起動させます。それから「喉が乾いた、コーラが飲みたいです」と指令を出したら、ちょっと離れたところ配置されたロボットが反応してドリンクのあるカウンターで仕分担当の機械と連携して、コーラをロボットのボックス内に入れました。その後、指示者のところまで届けてくれました。(このとき、顔認証されています)
今後、こうしたロボットの活用で飲食店の店員がいらなくなり、来客はスピーカーに支持して商品が届くのを待つだけでいい時代になるのでしょう。

▲ロボットがドリンクをお客さんのところまで届ける流れ

■アリババ物流の最新技術、菜鳥(CAINIAO)の無人化開発

京東(JD.com)やアリババを含め、中国EC大手は物流領域の技術開発に注力しています。
特に物流システムの完備と圧倒的スピードを売りにしている京東は無人物流倉庫、無人配達車、ドローンなどの開発を進めています。
前回、チャイトピ!では京東の江蘇省にある無人倉庫の取材に行きった際に、機械での仕分が従来の仕事の効率を大きく上回ることを感じました。アリババも、近年物流分野で京東を追いかけており、傘下の物流会社である「菜鳥」が物流インフラを建設し、海外事業を展開するなどするニュースが度々取り上げられています。雲栖大会では菜鳥も無人配達車、無人倉庫、顔認証によって荷物を受け取るボックス等を展示しました。

▲菜鳥の無人配達車(撮影:チャイトピ!)

▲顔認証による荷物を受け取る箱(撮影:チャイトピ!)

▲菜鳥無人倉庫

菜鳥は物流領域でIoT技術を活用し、未来倉庫を建設中です。人員を削減することができ、機械は自主的に計算分析します。


 

今年の雲栖大会はアリババの最新技術開発成果の展示会のようでした。新しいコンセプトと技術が今後もハイスピーードで登場してくるので追いかけていくのも大変そうですが、チャイトピ!では新サービスを見逃さず、引き続きアリババ技術、サービスの最新情報をお届けいたします。