中国の国慶節連休中(10月1日〜10日)に、上海浦東空港は代理購入への厳しい検査を行った。
対象者はスーツケースを開いて中身を検査され、現場では多くの代理購入者が税金の支払いを要求されたことが報道された。
中国電子商取引法は来年、2019年1月1日から施行される。同法はEC業界の規制を強化を目的とし、海外で購入した商品を転売する代理購入者も適用対象となる。

■業界を規範化する電子商取引法

中国電子商取引法(以下、中国EC法)の適応範囲は、ECプラットフォーム運営会社、インターネットなどの情報ネットワークを利用して商品を販売するサービスの提供従事者、WeChat(SNS)を利用して商品販売を行う「微商」や、外国で買付した商品を転売する個人の代理購入者と、インターネットを活用して商品を販売する全ての者が適用対象となる。これは代理購入者にとって大きな打撃になることは間違いない。

▲WeChatのモーメンツで商品情報を発表した代理購入者のアカウント
こうした者もEC法の適応対象となる。

EC法の重要規則:

  • 微商(WeChat上のEC等の商業を指す)や、個人の代理購入者でも営業許可証の取得が必要であり、さらに購入国と中国での営業許可証取得が必要である。
  • 納税を義務付ける。脱税した場合は刑事責任を問われる。
  • 中国語の商品説明がない、中国国家関係部門が認可してない工場が生産した粉ミルクや保健品などは販売禁止。
  • ECプラットフォームで販売された商品が偽物の場合、販売者の他、プラットフォーム運営会社も責任を問われる。
  • 消費者に保証金を徴収する場合、保証金の返還方法と手順を明らかにしなければならない。また、消費者が保証金の返還を申請し、返還条件を満たしている場合は、運営会社はすぐに返還することを義務付ける。

■代理購入者にとって明けない冬が来る

中国の代理購入サービスは2005年前後に盛んになり、友人や親戚に頼まれて化粧品や腕時計などの化粧品や装飾品を買付る中国人旅行客は日本でも無数に見受けられた。

日本政府観光局(JNTO)の統計では、2017年に日本を訪れた中国人観光客の数が735万5818人と前年比15.4%増となっている。では、10年前の07年はというと、94万2439人だった。訪日中国人観光客はこの10年で約8倍に増加したということになる。
■引用元:この10年、日本を訪れる中国人は一体何倍に増えた? =中国メディア

2008年、中国国産の毒粉ミルク事件が発生してから、幼児のいる多くの家庭では代理購入者を通して海外の粉ミルクを購入し、代理購入業界の成長を推進した。アメリカのリサーチ会社Nielsenは、2017年オーストラリアにいる中国代理購入者は10〜20万人いるデータを公表している。

子持ちの親たちが粉ミルクを買う際に、商品の品質を最も重要視する。
信用できる友達が海外で購入した粉ミルクは国内のどんなに派手にCM宣伝している粉ミルクよりも信用できる。韓国の化粧品や日本のベビー用品等、海外商品の品質に安心する中国人がいることは、代理購入発展の原動力となった。

海外に留学する生徒の数の拡大も代理購入発展の原因の一つだ。2017年、中国の海外留学生数は60万人を突破している。海外現地で長期間滞在する留学生は、旅行者よりも顧客が定着しやすく優位性が高い。そのため、アルバイト感覚で代理購入サービスを始める学生が多く、代理購入界の主力陣となった。会社員も旅行のついでに代理購入で副業をしたり、さらには代理購入のみで生計を立てる代理購入専業者まで登場し、世界各地に駆けつけて、人気商品を購入しては転売して稼いでいる。

これまで個人間のやりとりとしてあまり目をつけられていなかった「代理購入」は、EC法の施行によって、代理購入者に大きな打撃を与えることは間違いない。本記事の冒頭で紹介した空港内での直接的な検査以外でも、EC法ではECプラットフォームに出店を希望する者全てに資格の審査を受けることを義務付けている。法的制限が強化された代理購入は購入者にとって旨味が減り、減少の一途を辿ることになるだろう。
それに、現代では昔と違って本物保証を売りとしているECプラットフォーム上で海外製品が安価で購入できるようになっていることから、代理購入が完全に消える可能性さえもあるとことが中国メディアで指摘されている。

このEC法は日本のインバウンド業界にとっても大きな痛手だ。代理購入者の旨味がなくなれば、「爆買い」と称して日本の薬局等で買い物かごに大量の商品を入れる中国人の光景は見る機会がますます減少していくだろう。