レストランと物流倉庫機能を持ち合わせたアリババ系O2Oスーパー「盒馬(ファーマー)」(旧:「盒馬鮮生」、今年4月に盒馬に改称)は、アリババの打ち出したニューリテール(新小売)店舗として誕生から多くの消費者や企業に注目された。

アリババ会長のジャック·マーも自ら店に訪れるなどして盒馬を大々的にアピールしており、彼が笑顔で店頭で販売されている大きなカニを持った写真はネットで拡散され、瞬く間にホットな話題となった。
その後、他社もアリババを模倣して、次々と独自のO2O生鮮スーパーを展開し始める。テンセントが出資しているスーパーチェーンの永輝超市は2017年に生鮮スーパー「超級物種(チャオジーウージョン)」をオープン。EC大手企業の京東(ジンドン)は、2018年に「7FRESH」という生鮮スーパーをオープンした。

盒馬はアリババのニューリテール戦略の中核的な店舗だ。
店頭の欲しい商品を盒馬のアプリから注文すると、店舗から3Km以内の地区には30分以内に配送をしてくれる速達サービスがウケている。
鮮度の高い海鮮類の品揃えが豊富である点も人気に火がついた理由だ。順調に成長を続けているように見えた盒馬だが、2018年11月15日に信用を揺るがす事件が発生した。
スタッフが店頭商品の生産日を張り替えたことが通報で発覚し、それはすぐさまメディアで報道され、アリババの盒馬は今、猛烈に世論の批判を受けている。

■事件の経緯

11月15日、上海在住の来客が盒馬で、スタッフがニンジンの生産日を張替えたところを見かけたため、上海関係部門に通報。
その後、盒馬は当事者であるスタッフは正社員ではなく、臨時のバイトだと説明し、さらにその者をすでに解雇したと公表した。
しかし、責任者のこの対応に対し、ネット上では「これだけの説明では無責任だ」と強く批判するコメントが相次いだ。

▲weiboで盒馬で購入した果物や鮮魚は腐っていたと訴える人々のコメント

図のコメント内容

  • 「あなた達(盒馬)が送ってきた3人分のアボガドは2つがすでにカビが生えているし柔らかく腐っていたわ。それなのに明日、明後日が食べごろっですって?それに、こういう箱に入っている商品は、中身が見えないからどんなものが入ってるいるかわからなくて怖いわ!」
  • 「盒馬は店舗を抜き打ちチェックするべき!2日連続で、買った鮮魚は死んでいて本当に失望してる。」
  • 「いつも利用しているから送られてくる生鮮商品は、頻繁にまったく新鮮じゃない。新鮮なはずの果物もまったく美味しくない。どうして同じブランドの果物でも盒馬のものはおいしくないのか誰か説明して。」

こうしたユーザーからの反響・クレームを受け、21日、盒馬のCEOはweiboでお詫びの手紙を公開し、上海区の総経理(最高責任者)は責任を重く受け止め、辞任したことを公表した。

▲盒馬の公式アカウントからの謝罪文。

「(一部翻訳)メディアで報道された、スタッフがニンジンの生産日を張替えた事件に関しまして、事実確認が取れました。二度と同じような事件が発生しないように、本日から全店検査を徹底いたします。また、梱包破損時に再梱包する際は元の表示内容を保持する教育を徹底いたします。(以下割愛)」

▲盒馬CEOの謝罪文。

「(一部翻訳)私も盒馬の利用者です。今回の事件に対し、皆様と同じように怒りと悲しみを感じています。サービスと品質は盒馬の生命線であるにも関わらず、お客様に対する敬意と、お客様第一というポリシーに反する事件が発生してしまい大変申し訳ございません。(以下割愛)」

■盒馬の信用が揺らぎ、アリババニューリテール戦略の足枷となるか

2016年にアリババ会長のジャック·マーがニューリテール戦略を打ち出してから、中国の小売業界では「ニューリテール」がホットワードとなり、小売企業は時代の流れに乗るために変革を求め、オンラインとオフラインが融合するO2Oサービスの開発に注力した。
アリババは将来的にハードウェアやソフトウェア分野でもニューリテール産品を開発する計画があることを表明している。

今年7月、盒馬は初めて業績を公表した。
2018年の7月時点で全国で64店舗を運営、60%以上の売上げがオンラインからの注文、1店舗あたりの1日の売上は80万元(約1,309万円)を超え、従来の来店型スーパーの売上げを上回った。

盒馬は発展の速さをアピールしたが、成長が速いのは良いことばかりではなく、今、品質管理において課題に直面している。
盒馬で販売されている商品の一部がQRコードで生産日、検査状況、輸送車両等の情報をチェックできるが、全ての商品に適応するまではまだ時間を必要とするだろう。

▲盒馬の海鮮のコーナー(撮影:チャイトピ!撮影日:2018年6月)

チャイトピ!記者は以前に盒馬を取材した際、現場で購入した海鮮類をその場で調理してもらうサービスを利用したが、調理の注文から食べるまでに1時間もかかった。支払いにおいては、アリペイ決算とセルフレジのみの対応となり、現金しか持っていない人は購入できないなどのいくつかの問題があった。

アリババCEOの張勇は、盒馬は将来冷蔵庫を取って代わる存在にすると宣言した。一週間分の食材を買って冷蔵庫に保存するより、盒馬の配送サービスを利用すれば毎日新鮮な食材を食卓に揃えることができることをアピールしたが、今回の生産日張替え事件で盒馬は消費者の信用を失うことになってしまった。現在、中国では口にするものや肌に触れるものに対して「本物、安心、安全」であるべき、と人々の意識が高まっているため、アリババのニューリテール戦略に大きなダメージを与えた。


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