アリババが提供するチームコラボツールの釘釘(以下、DingTalk)は、12月9日に北京で発表会を開き、デジタル名刺交換機能を新しく追加したことを発表した。この機能を開通すると、同じコードを入力すれば相手の人と名刺交換できる。3秒で100人以上と名刺交換できるという驚きの速さだ。

▲4桁のコードを入力して、デジタル名刺が交換できる

【交換方法】
自分もしくは交換相手が適当に共通の4桁の数宇を決めてコードに入力すれば、名刺交換が完了。(身近にいる人に反応する仕組み)

DingTalkのCEO陳航は、デジタル経済が高速に発展してる現代において、企業は「人、財、物、事」などの企業運営のフローをDingTalkひとつで済ませることができるとアピールした。

例えば、財務に関しては、DingTalk上でアリババ傘下のモバイル決済サービス、アリペイと連携することで、企業は経費精算の全てのフローをDingTalk一元管理できるようになり、仕事の効率が高まると言う。

■登録ユーザー数1億を超えたDingTalkとは?

DingTalkは、アリババが2015年にリリースしたチームコラボアプリで、現在はPCとスマホアプリバージョンを提供している。
2017年までにユーザー数は1億人を突破し、2018年3月までで登録企業数は700万社を超えた。使い方もシンプルで、QRコードを読み取るだけで簡単に参加したいチームに加わることができる。

●DingTalkの主な機能

  • チャット機能
  • 電話会議、ビデオ会議
  • スケージュール管理
  • HR系:社員の休暇、残業、勤怠関係、出張、経費精算などが一元管理可能。
  • 社内広報:祝日の休みを知らせる等、お知らせを社員に送ることができる。
  • グループ生放送:会議や会社のイベント時にグループチャットで生放送を利用できる。

■ワークSNSアプリ分野でもアリババとテンセントの2社間競争に

両社の比較をしてみた。

中国SNS最大手で、アリババ最大のライバルであるテンセント傘下のチャットアプリ「WeChat」は世界で10億人を超えるのユーザーを抱えている。そのWeChatの膨大な数のユーザーに依存して、サービスを開発し、急速な発展を果たした企業も複数存在する。

ECに強く、SNS分野が弱みのアリババは、これまでもSNS分野でも市場を獲得するために過去に幾度もチャレンジしていた。例えば、中国版ツイッターと呼ばれるweibo(ウェイボー)に出資するなどして、テンセントとの市場シェア競争に挑んだことがある。

今回のアリババが自社でリリースしたDingTalkは、リリースから3年も経たないうちに1億人のユーザーを獲得しているため、アリババの成功例だと言えるだろう。DingTalkが想像以上にハイスピードで発展していることに威力を感じたであろうテンセントは、2016年に企業向けWeChatを打ち出している。2017年12月までの企業向けWeChatのAU数は3,000万人、登録企業数は150万社ということが公表された。

▲DingTalk(左)と企業向けWeChat(右)のスマホ画面
DingTalkのほうがHR系機能が豊富のようだ。

2018年4月にテンセントは企業向けWeChatと個人向けWeChatの連通をできるようにした。中国では早くからビジネス上でもチャットでのコミュニケーションが浸透しており、個人アカウントでクライアント担当者とやり取りするケースが多かった。これはビジネスを迅速に進めることができるとこがメリットだが、企業側からしたら、担当者が退職してしまった時に、個人のチャット上でクライアントとやり取りしていたデータ等の管理が行き届かないデメリットもあった。
今回の連携ではこのようなデメリットがカバーできるようになり、さらに企業向けWeChatに大量のユーザーをもたらす。しかし、一方ではプライベートと仕事を切り離せなくなってしまう、と懸念の声が高まった。

中国SNS分野ではテンセントが市場シェアを一社でほぼ独占しているが、DingTalkなどの企業向けをターゲットに特化したアプリでアリババは風穴を開けたようだ。