2018年中国で急成長した新生コーヒーチェーン店「瑞幸咖啡(以下、luckin coffee)」は今年12月、北京と上海でのデリバリー送料無料の対象とする注文の最低額を20元引き上げた。

元々は35元の注文で送料無料となっていたが、現在その最低注文額は55元に値上げされた。一番高価なコーヒー(27元)を2杯買った場合でも、6元(約100円)の送料が発生する。

■低価格で急速に人気を集めた

luckin coffeeは2018年1月から運営を始め、同年11月までに中国の21都市で1700店舗を展開するまでに急成長している。ニューリテールトレンドに順応し、「オンラインコーヒー」を売りにデリバリー事業へ注力し、庶民派価格によって短期間での売り上げ向上に成功した。

luckin coffeeは今年1月の開業当初から、新規ユーザーは1杯目を無料で注文でき、さらに2杯の注文で1杯無料、5杯の注文で5杯無料などの販促施策を行なっていた。これによりluckin coffeeは市場シェア確保に向け、創業初期の時点で10億元(約162億円)と多額の資金投入をすることとなったが、その甲斐あって開業から短期間にて多くのユーザーを獲得することに成功した。

luckin coffeeは今まで2回の資金調達を行ってきた。
1回目は2018年7月、ラウンドAにて2億米ドル(約224億円)、2回目は同年12月、ラウンドBにて2億米ドル(約224億円)の資金調達を行い、創業者兼CEOの銭治亜は、これまで通り販売促進の方面への資金投入を続けるつもりだと表明している。

このような、市場シェア確保のためにコストを無視し、莫大な資金を投入する手段を疑問視する声も高まっている。
例えば、中国シェア自転車市場のピーク時を思い起こすと、自転車の利用がほぼ無料だったことがまだ記憶に新しい。だが、市場シェア確保に向け、大量の資金を投じてサービスを無料で提供するといったビジネスモデルは、もはや崩れたと言えるだろう。
今やシェア自転車大手のofoは保証金払い戻し問題で危険な状態にある。初期の資金投入は確かに市場シェアを取ることはできるが、果たしてその低価格で確保した市場は長く保つことができるのか。

■実店舗に潜入!

チャイトピ!編集部は実際にluckin coffeeの実店舗へ足を運んでみた。
luckin coffeeアプリでは、「旗艦店」、「悠享店」、「快取店」と「快闪店」の4種類の店が表示されている。

「旗艦店」: 店舗面積が広く、客数の多い店舗
「悠享店」: 旗艦店より小さい店舗だが、店内で飲食ができる
「快取店」: デリバリー向けの店舗で店内利用の席が少ない
「快闪店」: ポップアップ・ストア。一時的にオープンしている店

▲luckin coffeeのアプリ画面

マップを開いて見たが「旗艦店」と「快闪店」が一個も表示されない。スターバックスのような大きな実店舗はまだ無いようだ。
「快闪店」はポップアップ店のため、表示されてない可能性がある。

そんなわけで、残りの選択肢にある「悠享店」と「快取店」に行って見た。
アプリに表示された一つの「快取店」の場所に行って見たが、どうしても見つけることができなかった。これは元々実在しない店かあるいは小さすぎて見つけにくいのかは不明である。

▲luckin coffeeの「快取店」(撮影:チャイトピ!)

別の「快取店」に行って見た。この店はオフィスビルの一階に店を構えている。
店の面積は約100平米、客数は少ない。受取店舗と言うだけあり、デリバリーの配達員の出入りが多い。取材同行スタッフはluckin coffeeの新規ユーザーのため、一杯目を無料でもらうことができた。

▲luckin coffeeの「悠享店」(撮影:チャイトピ!)

続けて「悠享店」に行って見た。この店は地下鉄出てすぐ近くにある。
「快取店」よりも店舗が少し広い。客層は主にサラリーマンのようだ。ここもデリバリーの配達員の出入りが多く、スターバックスのようにスタッフが広いカウンターで仕事できるスペースはないようだ。

▲「悠享店」店内の風景(撮影:チャイトピ!)
ウッド調で温かみのあるデザインだが、シンプルで殺風景である。

▲luckin coffeeと提携関係のある物流企業、SFエクスプレスの配達員が出入りしている。(撮影:チャイトピ!)

■コーヒー大手スターバックスとの戦い

アリババが打ち出したニューリテール戦略は、今やコーヒー市場にも浸透してきた。
コーヒー大手のスターバックスは9月にアリババと提携し、デリバリーサービス「専星送」をスタートした。これは開業当初からデリバリーに注力してきたライバルluckin coffeeとの競争への施策だと見られる。現在スターバックスのデリバリーサービスは中国30都市で計2,000店舗まで拡大したという。

さらに12月14日、スターバックスはオンラインスマート店もオープンした。
ユーザーはスターバックスのアプリもしくはアリババ傘下のECアプリ淘宝(タオバオ)、天猫(Tmall)そしてモバイル決済アプリのアリペイを通じてオンライン店舗にアクセスすることが可能となった。アリババのテクノロジーとスターバックスの会員システムを結びつけ、ユーザーはどのアプリを通じてもスターバックスの会員ポイントを貯めることができる。

現在、中国コーヒーチェーン市場においてこの2社の競争は白熱化している。
luckin coffeeは市場シェア獲得のために最初に赤字覚悟で安価なデリバリーサービスを提供していたが、その最大の人気の火種となったポイントが今回崩れてしまった。となると今後の勝負になるのは「味」や商品価値になってくると思われる。luckin coffeeすでに味に定評はあるものの、送料無料サービスにおける最低注文額を引き上げたことから新規ユーザーの獲得は今後厳しくなりそうだ。


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