中国ではもうすぐ国民が最も大切にする祝日“春節”(2月5日)を迎える。家族や親戚の間で紅包(お年玉)を送り合うのは春節の一つの楽しみだ。近年はモバイル決済の普及と共に、ポチ袋にお金を入れる伝統的なスタイルに代わって、チャットアプリのQQやWeChatを通して紅包を送信するのが流行となっている。

2016年春節、中国モバイル決済最大手のアリペイ(Alipay)が打ち出した紅包イベント「集五福」がヒットした。1つのゲームのような形で行われたイベントで、スマホで「福カード」なるものを集めてアリペイユーザーの友達同士で交換し、お年玉を獲得できるというものだった。そして今年はアリペイ以外にも、中国の複数のスタートアップ企業が春節お年玉作戦に参入した。

百度は年越し番組「春晩」とコラボ、紅包10億元配る

春節の紅包イベントは、2014年にテンセント提供のWeChat Payが打ち出したものを始まりとする。その年の春節のタイミングでオンライン紅包がリリースされ、一時話題となった。それを機に2015年からはアリババとテンセントの春節紅包合戦が始まることになったのだ。

2015年春節、中国版紅白歌合戦の「春晩」(全称:中国中央電視台春節聯歓晩会)がWeChat Payとコラボし、生放送の中でWeChatを通して視聴者に5億元(約81億円)の紅包を配るコーナーを設けた。テンセントはこの「春晩」とのコラボを通して、WeChat Payを一気に成長させ、現在はアリペイに次ぐ中国モバイル決済市場シェア2位となった。

2016年~2018年の3年間、WeChat Payの脅威を感じたのか、今度はアリペイが「春晩」とコラボしている。「春晩」の紅包作戦は中国のモバイル決済市場の重要な一部分を担っていると言っても過言ではないだろう。ここに過去の「春晩」コラボによって配布された紅包の総額をまとめた。(2019年百度は予定金額):

今年の「春晩」コラボ企業は中国検索エンジン最大手の百度(baidu)に決まった。百度もWeChat Payとアリペイの後を追い、自社のモバイル決済サービス「度小満」を成長させるのが狙いである。今回の百度による紅包イベントは1月28日から春節の前日(2月4日)まで8日間続く。紅包の総額は約20億元(約325億円)で、うち「春晩」番組放送中に配る紅包の金額は10億元(約163億円)の予定だ。

▲すでに始まっている百度の紅包イベント。ログインすると毎日カードを引くことができる。カードを10枚集めた参加者は、2月4日に開封される1億元(約16億円)を山分けできる。友達にシェアするなど1日にカードを複数回引くチャンスも用意されている。

百度の紅包イベントでもらったお金はすべて百度が提供するモバイル決済サービス「度小满」に入る。お金を取り出す場合は度小满に銀行カードを紐づけする必要があり、百度はこれを利用してユーザーを獲得する狙いだ。

消極的な強豪2社 アリペイとWeChat Payの対策は?

百度に比べ、今年のアリペイとWeChat Payの紅包イベントは目立っていない。

アリペイの紅包イベントは例年と同じく「集五福」だ。2016年にアリペイが「集五福」イベントを打ち出して以来、春節の時期に街中から福字を探し、スキャンすることは若者の新たな楽しみとなった。

▲アリペイの紅包イベント。右の写真のようにAR技術を用いて福字をスキャンすると、カードを獲得できる。5枚のカードを集めた参加者は2月4日に5億元の紅包を山分けできる。

一方WeChat Payは今年、春節で送信する紅包における企業向けの新機能を公開した。企業が従業員に送信する紅包の表紙をオーダーメイドできるといったものだ。

メディア新勢力のバイトダンスも紅包作戦に参入

ニュースアプリの「今日条頭」や人気動画アプリTik Tokなどの人気アプリを次々と輩出し、中国のメディアとエンターテイメントの一大勢力となったバイトダンス。そのバイトダンスもついに春節に目をつけ、紅包イベントを打ち出した。

現在Tik Tokのアプリを開くと、音符を集めて5億元を山分けする紅包イベントが大々的に宣伝されている。このイベントはアリペイの「集五福」と似たような仕組みで、カードを7枚集めた参加者は5億元の紅包を山分けできる。

▲ Tik Tokの紅包イベント

また、バイトダンスは先日公開したSNSアプリ「多闪」でも紅包イベントを開始した。このSNSアプリはテンセントが提供するWeChatの対抗馬だと言われており、春節のチャンスを掴んでユーザーを獲得する狙いだろう。

▲「多闪」の紅包イベント。紅包機能を使って動画撮影しシェアすると紅包をもらえる。

春節の紅包イベントは、はじめモバイル決済企業が市場シェア獲得を目的として開始したが、今年はモバイル決済2強のアリペイとWeChat Payよりも、金融サービス分野が弱みである百度や、新アプリを打ち出したバイトダンスなどが積極的に取り組む姿勢を示した。このようなプロモーションによって、中国モバイル市場にまた大きな変化が訪れるのか、そしてSNS分野にはまた新たな勢力が生まれのるか、チャイトピ!は引き続き最新情報をお伝えいたします!