中国の配車サービス滴滴(DiDi)が、社員全体の15%に相当する約2,000人のリストラを計画しているとの報道があった。創業者でありCEOの程維(チェン・ウェイ)が2月15日、社内ミーティングにて人員削減計画を発表したという。

■2018年度の赤字は1,800億円にものぼる?

先日、滴滴は2018年度に109億元(約1,779億円)もの巨額の赤字を出したと現地メディアに報道された。これについて滴滴はノーコメントとしているが、滴滴は2018年上半期の時点で40.4億元(約659億円)の赤字を公表しており、2012年の会社成立から6年間、滴滴は一度も黒字を出せずにいる。

2018年には2人の女性客が滴滴のドライバーにより性的暴行を受け、死亡している。この事件は世間から強く非難され、滴滴に多大なる影響を与えた。滴滴はその後業務改善を行い、事件の起きた相乗りサービス(順風車)の営業は停止した。その後も同サービスは再開していない。さらに中国当局はこの事件を受けて、配車サービス業界に対し取り締まりを強化した。それにより滴滴のライドシェア台数も減少し、利益も減った。

■ドライバーへのボーナスと乗客へのクーポンが赤字の肥やし

滴滴は2012年に成立し、2015年に同業の快的と合併した。2016年にUber中国を買収してからは中国配車サービス市場のシェアの9割以上を占め、企業評価額およそ3,000億元(約4兆9500億円)のユニコーン企業にまで成長した。2017年には滴滴プラットフォームでの注文数は74.3億回に達しており、ドライバーが滴滴に上納するコミッション率を20%として計算すると、滴滴の収益は決して少なくないと予測できる。ではなぜ、ほぼ市場独占の状態にある滴滴は黒字化できないのか?

創業者の程維(チェン・ウェイ)によると、滴滴がドライバーから受け取ったコミッションは最終的にドライバーへのボーナスと乗客への割引クーポンに使われた。2018年も滴滴はドライバーへのボーナスとして113億元(約1,846億円)を投入したと報道されていた。

中国では創業初期に市場シェアを取るため、大量の資金投入を行う作戦に出るスタートアップ企業は少なくない。シェア自転車のofoやmobikeもその一つである。しかし大量の資金投入による簡単な利益取得パターンは企業を危険に晒しうる。その一例としてofoが現在、保証金未払い問題に始まり延いては倒産が噂されるまでの大きな経営危機に直面していることが挙げられる。

滴滴は9割もの市場を占め、絶対的な優位性を持っているにもかかわらず、首約汽車、神州専車などのライバル社との競争も油断できない。フードデリバリー大手の美団(meituan)も2018年に配車サービス市場へ参入し、競争はさらに激化している。

また、2018年に滴滴は事業のグローバル化にも注力した。ソフトバンクと連携して日本市場に進出したり、ブラジルのライドシェア企業99Taxisを買収したりなど、事業拡張に力を入れている。しかしこのような投資と買収による事業拡大もまた赤字に繋がりうるというこの厳しい状況を、滴滴はどう乗り超えるのか。