中国で2018年下半期から大規模なリストラが始まった。アリババや美団など大手企業を含む、インターネットを活用したビジネスを展開する企業でのリストラをめぐる報道が相次いでいる。世界的繁栄を見せた中国ネットビジネス業界にもついに冬が到来したのだろうか。

リストラを行う中国ネットビジネス企業

先日、中国EC業界シェア第2位の京東(JD.com)が2019年に管理職の中から業績の悪い下位10%の社員のリストラを計画していると報道された。京東の関係者もこの報道を事実と認めている。京東のリストラ報道は今回が初めてではなく、2018年11月にも金融事業部門における15%の社員のリストラが報道された。

京東の他に、アリババも採用人数を削減するため中途採用を停止している。以下にリストラを報道された企業をまとめた。

▲リストラに関する報道

中国人材企業の智聯招聘によると、2018年Q3のネットビジネス業界の求人数は前年の同時期よりも51%も減少した。

背景には経済発展の減速

2018はネットビジネス企業にとって厳しい一年だった。リストラ報道を否定し、正常な業務調整ができているとする企業は複数あるが、業界の景気が悪化していることは明らかだ。

2019年に入ってもリストラの波は止まらず、ライドシェア大手の滴滴(DiDi)は全体の15%にあたるおよそ2000人もの社員をリストラする計画を公表した。

大規模なリストラの背景には中国経済発展の減速がある。2018年Q4における中国のGDP成長率は前年の同時期と比べてプラス6.4%にとどまり、2018年の第3四半期(6.5%)からは0.1%減速した。2018年の年間のGDP成長率は6.6%と、28年来の最低水準となった。中国経済の低迷は企業に大きな影響を与え、コストを削減するために人員を減らす企業が後を絶たない。

また、ネットビジネス業界には激しい競争の中で、市場を取るため大量の資金投入を行う作戦を展開し、創業から黒字化できていない企業が複数ある。配車サービスの滴滴(DiDi)とシェア自転車のofoなどの企業は初期の資金大量投入により早い段階での市場獲得には成功したが、その後は事業自体での黒字の実現ができず、会社の運営を投資に依存せざるを得ない状況にある。もし投資が中断されてしまえば、これらの企業はたちまち深刻な経営危機に追い込まれ、人員を削減するほかなくなってしまう。

リストラに踏み切った中国ネットビジネス企業の中でも、京東や美団など事業自体での黒字を実現している企業は滴滴やofoなどのスタートアップとはビジネスモデルも経営危機の度合いも異なるが、経済が冷え込みつつある中国でともに戦っていることには変わりない。現在リストラを報道されていないネットビジネス企業でも、避けられない冬の到来に備える必要が出てきている。