中国政治・経済にとって極めて重要な「両会」(全国人民代表大会と政治協商会議)は年に一度開催され、今年は政治協商会議が3月3日からすでに始まっており、全国人民代表大会は5日から北京にて開催される。国際社会でも中国の経済成長率や米中貿易摩擦などの話題への関心は高い。近年の両会では中国の政治指導層以外にも、中国を代表する有名企業の責任者も会議の代表に選出され、国家の建設や業界の発展に対する様々な発言や提案を行っている。今回はこれら企業家の観点をまとめた。

 

■テンセント・馬化騰

テンセント会長の馬化騰(マー・フアテン)は未成年のインターネット利用に対する意見を行った。具体的には、企業による未成年のインターネット利用の管理について、保護者の介入や企業の技術による対応、世間の観念育成などの角度から意見を提出した。さらに馬化騰は未成年ユーザーの身分認証を行う統一されたプラットフォームを立ち上げるべきだとも述べた。3月1日からテンセントは子どものゲーム依存防止のため、「チャイルドロック」モードのテストを開始した。13歳以下の未成年がゲームに登録するには個人情報の登録と認証が強制され、保護者の了承も必要となる。

テンセントの事業の中で現在最も収益が高いのはゲーム事業である。しかしゲーム事業は中国当局の制限により、慢性的に不安定な状態にある。中国政府は近年未成年のゲーム利用に関する制限を強化し、テンセントやネットイースなどゲーム開発企業の売り上げに影響を与えている。このような状況の中、これらの企業も自主的に関係措置を出し、未成年によるアクセスに制限を設けることとなった。

 

■GREE(格力)・董明珠

中国最大の空調機器メーカー格力電器(GREE)董事長の董明珠(ドン・ミンジュ)は両会でメディアの取材に応じ、5Gスマホや自分のキャリアなどの話題に対しコメントした。GREEが生産するスマホの売上は向上しており、将来は5Gスマホや折り畳みスマホのトレンドに追随できるとしている。

GREEは2015年にGREE独自のスマホブランドを打ち出した。しかしGREEスマホの売り上げ状況に関する情報が公開されたことはない。エアコンなどの電器販売がコア事業であるGREEのスマホ事業に対する信頼はまだ確立されていない。しかし、董明珠は自社のスマホ事業に自信を示した。

また、董明珠は自身のキャリアについて、今後の予定ははっきりしていないが、成り行きに任せて自分のやるべきことやり遂げるつもりだと述べた。董明珠は今年1月の取締会で再任を遂げたが、本人の年齢もあって後任者に注目が集まっている。

 

■百度(Baidu)・李彦広

百度会長の李彦宏(リ・ゲンコウ)は交通事情へのスマートソリューションやAI(人工知能)に関する意見を提出した。李彦宏は都市の発展と共に、中国は交通渋滞問題の解決を急ぐべきとしている。AI技術を利用して交通状況を全面的に感知し、リアルタイムでコントロールできるスマートソリューションを構築すべきだと述べた。

また、AI技術開発における倫理的問題について、AIはまだ発展の初期段階にあるものの一部領域ではすでに人間の能力を超えた存在となっているとの見解を示した。社会にはAIの安全性に関する議論や人間の地位がロボットにより脅かされるのではとの懸念の声も多い。AIに関する倫理の研究も強化すべきだと述べた。

百度は近年AI開発に注力しており、AIアシスタント「DuerOS」や自動運転プラットフォーム「Apollo」を打ち出している。

 

■Xiaomi(小米)・雷軍

スマホメーカーXiaomi会長の雷軍(レイ・ジュン)は5G開発に関する意見を提出した。雷軍によると5Gはデジタル経済のエンジンであり、スマホ分野をはじめとしてIoTやブロックチェーン、映像によるSNS利用などの発展を推進できる。しかし現在中国の5Gの基礎建設はまだ完成しておらず、標準もまだ明確になっていない。雷軍は早めの5G開発推進を推奨した。

5Gは現在世界的にホットワードとなっている。特にスマホ分野の5G開発には注目が集まる。中国のHUAWEIも5G技術開発の件でアメリカをはじめとして世界中から警戒されているというニュースはよく目にしているのではなかろうか。

両会では他にも多くの新たな規定や中国の最新データが発表されることが想定される。3月3日から始まり、例年通りであれば18日頃まで続く予定であり、このおよそ15日間は両会から目を離すことができない。チャイトピ!は引き続き両会の進捗を追い、日本企業に関わる情報や日本の読者が関心のある情報などをピックアップしお伝えします。