中国民営物流企業の申通(STO Express)は3月11日、アリババが同社の関連会社に46.6億元(約770億円)を投資し、49%の株式の取得を計画していると公表した。これを受けて、申通の株価は高騰した。

アリババが今回投資する申通の関連会社とは、申通の株主である「德殷投资」が新しく設立する会社のことである。両社の協議結果によるとこの新設会社にアリババが戦略投資し、49%の株式を取得するとのこと。

取引が完成した後は、申通とアリババはニューリテール戦略に基づく新たな物流や物流テクノロジーの開発などにおいて協業する予定。アリババは今回の投資について、各企業と連携して物流コストを下げ、製造業の効率を上げたいとコメントしている。

アリババを筆頭に拡大の止まらない中国物流業界

アリババが物流企業に投資するのは今回が初めてではない。申通の前にも中通(ZTO Express)と圓通(YTO Express)に投資している。アリババは今回の申通への投資を以て、「三通一逹」(中通、韵逹、圓通、申通)と呼ばれる大手中国民営物流企業のうち、韵逹を除く「三通」を制覇する。ここからアリババの物流分野への強い野心が伺える。

京東やアリババなど中国EC大手は近年、特に物流分野への取り組みを強化している。京東物流は2018年10月から、個人向けの配達サービス「JD Express(京東宅配)」を開始した。京東物流は京東のコア事業であるECサービスをサポートするべく立ち上げられたため、一般家庭への集荷対応などの個人向け物流サービスは行っていなかった。その他には家電販売サイトの蘇寧(Suning)も2016年に物流会社の「天天快递」を買収し、自社物流事業に活用した。

2013年にはアリババの物流を一手に担うハイテクロジスティクス企業菜鳥網絡(Cainiao Network)が設立された。この物流会社はビッグデータを活用した倉庫管理や配送、越境ネットワークの構築、物流追跡サービスなど展開し、アリババのEC事業に貢献している。2016年に中国物流サービスの質を向上するため「菜鳥連盟」が成立され、中国の主要な物流企業が加入した。菜鳥連盟はロシアやスペインの郵便事業とも提携するなど、世界へも拡張していく姿勢を示した。

現在物流企業の成長はECの発展と切り離せない関係にあり、老舗の物流会社以外にもEC企業らが立ち上げた新興物流事業はさらに中国の物流市場を盛り上げている。物流企業の発展による今後のEC業界のさらなる成長にも期待したい。

 

【申通快递(STO Express)】

中国で「三通一逹」と呼ばれる中通、圓通、申通、韵逹の4大物流会社の1つ。1993年、上海に設立。三通一達の中では最も歴史が長い。2015年、裏口上場に成功。全国に事業所および子会社をおよそ2000箇所所有し、従業員は30万人を超える。2017年からはスマート物流などの新しい物流システムの構築に注力し、自動仕分けなどの設備を導入した。