中国最大の家電見本市AWE「Appliance & Electronics World Expo 2019」が3月14日から17日までの4日間、上海で開催された。アメリカのCESや欧州のIFAと並ぶ世界三大家電見本市とも称されるこの展示会では、韓国のLGやサムスン、日本のソニーを含め、世界各国の家電メーカーなど約900社が出展した。

今年もチャイトピ!編集部は実際に会場へ足を運んだ。この記事では現場でチェックした家電業界の最新技術と製品情報をいち早く紹介する。

今年のAWEでたびたび目にしたのが5GとIoT技術を活用した製品。あらゆるモノをインターネットで繋げる技術「IoT」、この言葉はここ数年でよく耳にするようにはなったが、実用化にまで至る商品は決して多くない。IoTの実用化には大量且つ迅速な接続が可能な通信技術が必要となる。中国は2019年から5Gの商用化を開始する計画を公表しており、現在5Gのネットワーク設備も初期段階の建設はもう達成している。5Gの普及速度は4Gのそれよりも速いと予測されており、5G技術の発展と共にIoT技術の実用化も新たな一歩を踏み出すことになるだろう。

以下に展示されていた製品をいくつかピックアップしている。展示製品に盛り込まれた家電業界の最新技術に注目してまとめた。

創維 スマート冷蔵庫

中国テレビメーカー大手の創維(Skyworth)が開発したこのスマート冷蔵庫はAI技術を活用している。中身は一見普通の冷蔵庫と変わらないが、扉に付いたディスプレイで食品の管理やレシピチェックなどができる機能がある。例えば中華料理「魚香肉絲(ユーシャンロースー)」のレシピを調べたい時、「魚香肉絲を作りたい」とでも言えば、音声で冷蔵庫に搭載されたAIスピーカーを起動させることができ、魚香肉絲の作り方に関する動画を再生してくれる。また、食材を冷蔵庫に入れるときにディスプレイでその食材を登録し、賞味期限も管理できる。ちなみに、この冷蔵庫で映画を見ることもできるのだ。

▲創維スマート冷蔵庫(撮影:チャイトピ!)

▲動画はこちら!(撮影:チャイトピ!)

創維はスマート冷蔵庫以外にも、部屋中のあらゆる家電がネットで繋がるスマートホームを展示した。スマホ一台で洗濯機やテレビ、エアコン、カーテンなどの家電・家具をコントロールすることができる。

▲創維スマートホーム(撮影:チャイトピ!)

▲スマートホームの中の家具はスマートスピーカーにより操作できる(撮影:チャイトピ!)

 

HUAWEI  HiLink

HUAWEI(華為)が開発したスマート家具のプラットフォームHUAWEI HiLinkも多くの注目を集めた。HUAWEIはスマートホーム分野では他の中国企業よりやや遅れており、2015年にHiLinkプロジェクトを始動したが大きな動きはなかった。しかし今回のAWEではHUAWEIは家電メーカーの蘇寧と家具メーカーの居然之家との提携を発表し、5G技術の最先端を歩むHUAWEIはIoT、スマートホームへの野心を示した。

▲HUAWEI HiLink展示ブース(撮影:チャイトピ!)

▲スマホで家具をコントロールする(撮影:チャイトピ!)

 

格力 スマートエアコン

中国空調メーカー大手の格力(GREE)はAI技術を活用したエアコンを開発した。このエアコンにはテンセントのAIスマートスピーカー「騰訊叮当」が搭載されており、音声による温度の調整や時間設定などができる。また、このスマートエアコンには音楽再生、ニュース読み上げ、天気予報などの機能も付いている。さらに、エアコンとユーザーとのやり取りを記録し、そこから学習してユーザーの需要を予測することもできる。

▲格力スマートエアコン(撮影:チャイトピ!)

 

小狗 掃除ロボット

今回のAWEでは掃除ロボットを展示した企業も複数みられた。中国電器メーカーの小狗(xiaogou)が開発したこの掃除ロボットは、スマホのアプリから直接指令を出すことができる。家にいなくてもロボットを稼働させ、指定区域を掃除させることができる。

▲小狗掃除ロボット(撮影:チャイトピ!)

 

8K OLEDテレビ

現代社会はテレビ離れのイメージも大きいが、今回のAWEでは8Kスーパーハイビジョン、超薄型有機発光ダイオード(OLED)テレビはひときわ目立ち、主役のような存在だった。LGやサムソン、ソニー、SHARP、TCL、ハイセンスなどのブランドは競って自社の8Kテレビを打ち出し、8K時代の到来を宣言した。特にLGは現時点で世界最大、解像度最高の8K OLEDを展示し、その驚異の薄さには会場がざわついた。

しかし現在8Kテレビはそのあまりの高価さに、実際に使いたいと思う家庭は少ない。8K技術がどんどん成長する一方で、コンテンツ不足は新たな課題となっており、例えば8Kテレビで再生するコンテンツは撮影から編集までのフローに8K技術による処理が必要となる。サムスンはそのコンテンツ不足の対策として、AWE会場で4Kの映像を8Kの解像度にする技術を展示した。このような実用化に特化した技術開発も同時に進めば、近い未来にはOLEDが液晶テレビに取って代わる存在になることも十分期待できる。

▲LGの8K OLEDテレビ(撮影:チャイトピ!)

▲ソニーの8Kテレビ(撮影:チャイトピ!)

▲サムスンは4K映像を8Kに処理する技術を展示(撮影:チャイトピ!)

 

創維 透明テレビ

創維(Skyworth)の透明テレビも展示会で多くの注目を集めた。このテレビは画面の向こう側が透けて見えるようになっていて、展示方法も工夫されていた。しかし見慣れない技術にハイテク感は感じるが、実用性の面ではどうだろうか。

▲創維透明テレビの動画(撮影:チャイトピ!)


今回のAWEでは、全く見たことの無い技術やコンセプトは少なく、技術のさらなる改善や実用化の方面での進化は多く見られた。スマート家具はインターネットに繋げる機能を持つだけでなく、学習機能によってユーザーの需要を予測し対策することもできるようになった。音声会話などの機能はありふれた存在となり、各社はエアコンや冷蔵庫にも音声指令によって音楽を再生したりニュースをチェックしたりできる機能を付け始めた。

現在、各ブランドにとって優先すべきことは、新たな技術開発に向けた取り組みよりもむしろ、他社よりも一歩先に、如何に早く、実用化させるかどうかに変化している。この進化の方向性の変化にもすばやく対応し、社会のニーズに的確に合わせることができる企業が生き残っていくことは間違いない。