上海に今年3月、観覧車のような立体駐車場が登場した。上海市中心部から少し離れた場所に位置する莘庄地区で、アパートに挟まれてそびえ立つ鉄塊は異彩を放っていた。この駐車場の面積は20平米で自動車をおよそ2台停められる広さであるが、高さは10階まであり計20台をも納めることができる。パレット(機械式駐車場における駐車するスペース)はチェーン循環により上下左右にバランスよく動くようになっている。現在はまだ試験運営段階にあるが、正式に運営されるようになれば中国都心部の深刻化した駐車場不足の解消に期待できる。

▲観覧車式駐車場の外観(撮影:チャイトピ!)

観覧車式駐車場の使用方法

入場口へ車が入ると入場ガレージ前に設置されたカメラにより、自動的に車のナンバーが識別され記録される。ナンバー記録後ガレージが自動で開き、パレットへ駐車すると運転手は専用出口から退出する。駐車時、システムが駐車場全体の重量バランスを計算し、駐車するパレットが自動で選出される仕組みとなっている。取材日も5台の車が停められていたが、上下左右に満遍なく駐車されていた。入場から駐車完了までユーザーは車の運転以外に何の作業も必要としない。利用料金は6元(約100円)/1時間と、上海の一般的な平面駐車場の1時間当たりの利用料金がおよそ10元(約170円)であるのと比べて安い。また、1日の料金上限は48元(約800円)である。

▲パレット(機械式駐車場における駐車スペース)(撮影:チャイトピ!)

▲取材日、駐車場には5台の車が停められていた。(撮影:チャイトピ!)

出庫時はガレージの隣に設置された装置を用いる。これに表示されるQRコードをWeChatでスキャンし、画面表示に従って車のナンバーを入力する。すると入庫時に記録された情報に基づいて利用料金が表示されるため、WeChat Payで決済する。支払いを済ませると自動的に車が1階へ下され、ガレージが開くシステムとなっている。

▲ QRコードで支払い、出庫する(撮影チャイトピ!)

この駐車場は強風や地震にも耐えられるよう設計されており、将来的にはネット予約機能や電気自動車用の充電設備も追加する予定だという。中国ではこれまで数多の無人サービスがリリースされ、この観覧車式駐車場もそのうちの1つである。しかしどの「無人サービス」も多くの場合は関係者が現場に配置されており、完全無人化されたケースは少ない。この駐車場も「無人運営」との表示はあるものの、ガレージの隣には監視室が設置されており、取材時は1人の関係者が監視役を担当していた。

中国都市部の駐車場不足解消への期待

先述の通り、この駐車場の敷地面積は20平米で普通自動車およそ2台分の駐車スペースに相当する。限られたスペースで駐車台数を大幅に増やすことができ、中国都市部の駐車場不足問題の対策として活躍することが期待できる。中国の都会では駐車場不足の深刻化が進む一方で、自動車の保有台数は増え続け、2018年末の時点で中国の自動車保有台数は2.4億台を超えた。莫大な数の国民のうち7人に1人が車を所有している計算となる。さらに人口は都心へとますます集中していき、都心の駐車場の拡大は自動車の数の増加に追いつけていない。関係データによると、中国大都市の自動車数と駐車スペースの比率は1:0.8で、中小都市では1:0.5。全国の住宅地ではその6分の1以上で駐車スペース不足の問題が生じている。

各都市も当然これら駐車場不足問題に対してすでに改善策を打ち出している。重慶市では22階建ての駐車ビルが建設された。スマート化および無人化を実現し、エレベーター式で車を自動的に適当な駐車スペースに納める。また、北京や上海などの市政府は日本でいう「akippa」のような駐車場シェアリングサービスを推奨している。企業に限らず個人でも、第三者のプラットフォームを通して自身の保有する空きスペースを有料駐車場として貸し出すことができ、駐車場不足解消に貢献できるだけでなく新たなサイドビジネスとしての成長も期待できる。

近年中国自動車市場は急激な成長を見せ、世界最大の自動車市場の1つにまで昇りつめた。しかし2018年に新車販売台数が28年ぶりの減少を記録した。これは経済全体の成長減速とも関わるが、若者の間では駐車難への恐れから車離れが始まりつつあるとの声もある。今後はさらに工夫を凝らした駐車難ソリューションが注目されるだろう。