先週、米EC最大手のアマゾンが中国本土向けのEC事業撤退を発表し話題となった。アマゾンはこれまでに日本を含め世界の数多くの国・地域へ進出し市場を拡大し続けてきたが、巨大なネット小売市場を抱える中国では大きな挫折を味わうこととなった。

アマゾンは2004年に中国本土のECサイト「卓越網」を買収し、中国市場へ進出した。その後の2011年、卓越網は正式に「アマゾン中国(亜馬遜中国)」に改称した。アマゾンは今から15年も前に中国市場へ進出し先手を取ったかのように思われたが、その後アリババや京東など中国国内EC企業に猛追され、激しい競争の中アマゾンは淘汰されてしまった。現在の中国市場シェアはすでに1%以下にまで落ちている。

アマゾンはアメリカ市場で5割以上のシェアを占め、日本市場でも日本流通産業新聞の最新データによると2017年10月から2018年9月のEC売上高ランキングではアマゾンが首位に立っており、日本および世界のEC業界で最も存在感のある企業の1つである。そんな世界のアマゾンによる中国撤退の発表を受けて数々のメディアや専門家らがその原因を考察しているが、今回チャイトピでは中国現地ユーザーのコメントを収集し、中国人消費者の視点から中国アマゾン敗北の原因を探っていく。

中国人ユーザーのネット上のコメント

以下、「華尔街見聞」という中国ニュースサイトが運営するネット掲示板に投稿された「【討論】中国本土化15年の道“閉幕”、アマゾンECはなぜ中国で勝てなかったのか?」という話題に対するコメントを引用している。

(大意)
ユーザー体験も酷ければ値段も高い、そんなのでアマゾンを使ってどうするの?

“前に使ったことがあるけど、まず画面が分かりにくいし、メニュー設定も全部アメリカ人の習慣に合わせたんでしょ
(大意)
アリババの安さ(偽物も多い)と京東のサービスにアマゾンは負けた”

中国文化への理解が足りない。以前のGoogleと同じように、デキるリーダーがいない
(大意)
“今アマゾンで本だけは買うけど、それ以外はあんまり使わない。kindleがアマゾンと私との唯一のつながり。突っ込みどころが多すぎて購入フローはスムーズじゃないし、中国国内の大手ECとは全く比べ物にならない。

アプリの調子が悪すぎて、海外にサーバーあるのかと思ってた
(大意)
“アマゾン中国の責任者はどれくらいの権限を持ってるのか知りたい。どのくらいの中国人社員がいるのか、そんなので8万人のアリババと18万人の京東とどうやって張り合うのか

中国人ユーザーのコメントから見ると、アマゾンがアリババや京東に敵わない原因は以下にある:

  • 使いにくい、ユーザー体験が悪い
  • 偽物商品はないものの値段が高い
  • 中国人の習慣に合わないアマゾンのやり方
  • 中国人チームを信用しないため中国文化への理解が進まず、ニーズが掴めない
  • アリババや京東に比べて宣伝が弱い 等

実際に、チャイトピ!編集部の中国人スタッフも以前アマゾン中国で買い物をしたことがあり、そのときは特に物流に問題があると感じたという。京東で買い物をする場合は最速で当日または翌日に商品が到着するケースが多い。それに比べてアマゾンの配達は遅かった。また、同スタッフは紙の書籍の購入にアマゾンを利用することが多いが、近年はその書籍の種類も減少したと感じるという。アマゾンよりも天猫や京東の方が商品が多いうえに配達も速いため、アマゾンは使わない一方となった。

ライバル二社のコメント

アリババ会長のジャック・マーが以前、インタービューでアリババとアマゾンのビジネススタイルの違いについて語った。「アマゾンは一つの帝国のようで、仕入れから販売まで全ての行程を自らコントロールする。アリババはアマゾンのやり方とは異なり、自社ECモールに出店する企業に権限を与え、彼らのサポート役を務めることに注力している。」

京東会長の劉強東は2018年にある番組内でアマゾンについて語った。「アマゾンの中国総経理はいつも外国人が担当していた。しかも中国で生活したことのない外国人。変化の激しい中国市場において、現地社員に権限を与えるようにしないといずれ問題が起きる。」

ここから見ても、やはりアマゾンは中国ユーザーのニーズを掴むことができなかった点に大きな問題があったことが分かる。アメリカや日本市場でのやり方は中国市場では通用しない。アマゾンに限らず中国でビジネスを展開するすべての海外企業は世界で成功した確固たるやり方を持っていようがやはり、中国市場事情とユーザーニーズの把握を大切にしなければ、またアマゾンやグーグルのような敗北を繰り返すことになるだろう。

ここで一つ触れておきたいのは、アマゾンは中国でのEC事業を今年7月18日を以て停止すると発表したが、kindleや越境EC事業は継続する方針だという。中国ECビジネスの発展に伴って中国人ユーザーの海外製品への信頼も以前より一段と上がり、当局も越境ECを支援する姿勢を示していることから、これからも中国越境EC市場には大きなチャンスがあると言える。アマゾンもこの敗北であきらめることなく、越境分野からの中国市場克服の道を探っていけるかどうかによっては、まだ勝負は終わっていないだろう。