中国Eコマース新勢力の「雲集(Yunji)」は6月4日、上場後初となる決算を公開した。収益は33.8億元(約529.3億円)と前年に比べ53.2%増加した。純利益は1690万元(約2.6億円)で、初の黒字決算を実現した。かつてねずみ講の疑いで罰金処分を受けたこともある雲集だが、2019年5月にはナスダックでIPOを果たし、独自の戦略を用いて中国EC市場の激しい競争の中でも存在感を見せている。

雲集(Yunji)とは?

中国EC市場の大部分はアリババや京東などの大手企業が占めており、その他プラットフォームはみな残されたわずかな枠を取り合うという厳しい状況に置かれるはずであった。しかし、2018年にソーシャルECの拼多多が米国ナスダックで上場を果たし、時価総額は京東を超えるという快挙を達成した。このことは中国EC市場の新たな成長の可能性を業界に知らしめ、大手以外のプラットフォームも今常にシェア拡大の機会を狙っている。

拼多多が成功した2018年、中国ではスタートアップ企業が次々と上場し、一大上場ブームとして世界から注目された。一方で、これらのスタートアップは上場には成功したものの、赤字経営からは抜け出せていないパターンが非常に多い。雲集もそのひとつであり、設立から赤字経営を続けてきた。しかし2019年Q1でついに初の黒字を実現したのである。

▲雲集の2016年から2019年Q1までの収益と純損失/純利益

雲集のビジネスモデル「S2B2C」

雲集も拼多多と同じソーシャルECプラットフォームのひとつで、2015年に杭州で創業したその4年後にIPOを果たした。安価を売りにして3・4線都市のユーザーからの支持を得た拼多多の戦略とはまた異なる、独自のEC戦略を雲集は生み出した。

雲集のビジネスモデルはB2BやB2Cとも違い、プラットフォームが事業者(B)に商品の供給源・物流・アフターサービスを提供し、事業者は消費者(C)に商品を販売するという構造「S2B2C(供給者S→事業者B→消費者C)」型ビジネスモデルを採用した。

雲集一番の特徴は「店主」制度であり、入会費398元(約6200円)を支払うと「店主」という名の有料会員になれる。この「店主」というのは雲集で出店することではなく、雲集で販売されている商品を売ることによりそのコミッションを稼ぐユーザーのことである。友人を有料会員へ招待したり、外部に張り付けた商品URLから購入に導くなどして会員数や売上の増加に貢献すると報酬が得られ、商品の仕入れや物流などの運営は雲集が統一して管理する。

▲左は非会員の会員登録画面。右は会員のミッション表示画面。会員は友人招待で80コインを、招待から入会した友人は40コインを獲得できる。コインは有料会員が同アプリ内でのみ使用できる(1コイン=1元)。

「店主」は主に商品URLをSNSに投稿するため、その拡散力はかなり大きい。2019年3月時点で雲集の有料会員数は900万を超えた。

▲この59元(約920円)のカバンをシェアし、そのシェアによって取引が成立すれば「店主」は8.85元(約140円)のコミッションを獲得でき、これは銀行口座に移すこともできる。

「店主(有料会員)」を巡る議論、果たしてねずみ講なのか?

安さを売りにする拼多多が偽物販売問題を抱える裏で、同じくソーシャルECの雲集も独自のEC戦略に大きな議論が寄せられた。お金を払って「店主」になり、その「店主」がさらに人を紹介するというサイクルにねずみ講の容疑がかけられたのである。その「店主」の上にはさらに2つの階級があり、格上会員は格下の会員費からも紹介費として報酬を得られ、完全にピラミッド型の構造ができていた。最終的にこの手法は中国のねずみ講禁止条例に違反しているとされ、2017年に雲集は中国関係部門から958万元(約1.5億円)の罰金処分を受けた。一方で雲集は2015年から2017年の間に黒字を実現できていなかったことから、金目当てのねずみ講ではないのではとの反論もある。

厳しい罰金処分を受けた雲集はその後運営方法を修正し、かつては金銭で支払われていた紹介費を、アプリ内でのみ使えるクーポン(コイン)に変更した。「店主」という名前も通称としてはまだ世間に浸透している状態だが、正式名称としては「鑽石会員(ダイヤモンド会員)」に変更され、昇格制度も廃止するなど、ねずみ講の容疑を晴らす努力をしている。

EC市場が大手らに独占され、規模の小さい企業の生存が厳しくなった中国ではあるが、拼多多や雲集などが独自戦略による成功をおさめたことでアリババや京東などの大手も油断できない状況になりつつある。絶えず変化する中国EC業界で、新たな革命が起こる日もそう遠くはないかもしれない。

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