バイドゥに挑戦状、バイトダンスが自社検索エンジンを公開

Tik Tokを運営する中国テック企業のバイトダンス(字節跳動・ByteDance)は自社検索エンジンのウェブ版を公開し、検索エンジン業界への新規参入を果たした。

中国検索エンジン市場を独占していた最大手バイドゥ(百度)に挑戦状を出した形となった。

▲バイトダンスの検索エンジン(サイトはこちら
スローガン「あなたの欲しいものを検索する」

バイトダンス・新規参入に向けた歩み


バイトダンスは2017年の時点ですでに検索エンジン事業を展開するテック企業「Qihoo 360( 奇虎360)」から優秀な人材を引き抜いたりと、検索エンジン業界への参入を匂わせていた。

今年3月にはバイトダンスの運営するニュースアプリ「Toutiao(今日頭条)」が検索エンジン機能の試行運用を行った。自社コンテンツのみが占めていた検索結果に他のコンテンツも表示されるようにした。
そして今回のウェブ版検索エンジンの公開が、バイトダンスの本格的な検索エンジン業界への参入を表明している。

▲Toutiaoにて“最近中国でヒットした中国映画”を検索した結果
(Toutiao
でアカウントを持つメディアの記事の他に、映画チケット購入サイト「猫眼」も表示された)

激化するバイトダンスとバイドゥの競争

中国を代表する検索エンジンといえば、世界中で知られているバイドゥである。
2010年にGoogleが撤退して以降、バイドゥが7割以上の中国での市場シェアを占め長年に渡って最大手の座を保っていた。

しかしコア事業である検索エンジンサービスにて過去に、違法である医療機構を検索結果の上位に表示し、バイドゥの表示を信じた患者がその医療機構にて治療を受け死亡するという事件が発生しており、近年バイドゥの評判は落ちている。
テンセントとアリババとともに中国テック企業3強(BAT)と呼ばれているが、テンセントやアリババに取り残されつつある。2019年のQ1決算では上場以来初の赤字決算となった。

そして今回検索エンジン業界へ新規参入を果たしたバイトダンスの代表的なサービスといえば「Tik Tok」と「Toutiao(今日頭条)」である。
5億MAU を誇るTik Tokは海外市場でも急激な成長を見せているショートムービー共有アプリだ。アプリストアにて何度もDL数1位を獲得している。
Toutiaoは1.2億MAUも誇る中国国内で人気のあるニュースアプリである。

世界で人気のあるTik Tokだが、獲得したのはショートムービーというかなり細分化された市場での好成績のため、ユーザー数は頭打ちになりつつある。その上、激動する市場で持続した成長のためにも、バイトダンスは検索エンジンを始めとした、スマホ開発などの様々な業界への進出を積極的に行っている。

億以上のMAUを獲得しているサービスを展開するバイトダンスの参入は、低迷気味でありながらも今まで業界一強であったバイドゥにとって大きな痛手となるだろう。

成長を目的として検索エンジン業界へ参入したバイトダンスと、業界トップに君臨していたバイドゥの勢力争いは刻々と激しくなっている。
2019年4月にTikTokがバイドゥに対して不正競争を理由に9000万元と30日間の謝罪広告を求め訴訟を起こした。そして同日にバイドゥも同様の内容で訴訟を起こすという出来事が発生した。

両社ともに真っ向からの対立姿勢を示したのだ。

テック企業3強「BAT」の“B”はバイトダンスに代わる?

▲バイトダンス系列アプリ、左からTik Tok、今日頭条、多闪


低迷のバイドゥと躍進のバイトダンスの対照的な情勢に対して、近い将来「BAT」のB(“b”aidu)をバイトダンス(“B”yteDance)が取って代わるのではないか、という意見もでている。

そしてバイトダンスはバイドゥのみならず、テンセントからも敵対視されている。

テンセントの国民的チャットアプリ「ウィーチャット(WeChat)」ではTikTokからの共有が遮断されている。
それに対抗する形で、バイトダンスはソーシャル機能を持つ動画アプリ「Duoshan(多闪)」をリリースした。テンセントの強みであるソーシャルアプリ業界へ足を踏み入れたのだ。

将来BAT3強の体制は今後のバイトダンスの展開次第で大きく変動するだろう。

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